海外の韓国料理店、「信頼できる店」1000店へ 韓国が認証制度を刷新

海外で韓国料理を楽しめる店が増える一方、「どの店を選べばよいのか」は旅行者や現地の消費者にとって意外に難しい。料理の内容や衛生管理、サービスの水準は店舗によって異なり、韓国料理を掲げていても、その背景や調理方法が十分に共有されていない場合もある。こうした課題に向け、韓国農林畜産食品部は2026年10月、「海外韓国料理店競争力強化方案」を発表した。高級店を中心としてきた従来の指定制度を大衆的な韓国料理店にも広げ、今後5年間で指定店を1000店まで増やす方針だ。

高級店だけではない、日常の韓国料理店も認証対象へ

韓国政府によると、海外における韓国料理の認知度は、2023年の60.0%から2025年には68.6%まで上昇した。
一方で、韓国料理への理解や調理経験が十分でないまま、その名称やイメージを使用する店舗もあり、料理やサービスの品質差が課題となっていた。

新制度では、一定のサービス・衛生基準を満たす店舗を「推薦」、より高い水準に加えて韓国産食材の活用などの条件を満たす店舗を「優秀」とする2段階の等級を設ける。

評価対象には、韓国料理のメニュー比率や調理の専門性なども含まれる。
審査は韓国農水産食品流通公社(aT)の海外拠点をはじめとする現地機関が担い、認証の有効期間は3年間。毎年、営業状況や衛生関係の法令違反を確認し、基準を満たさなくなった場合や重大な違反があった場合には、認証を取り消す仕組みも導入される。

これまでの制度では、東京、ニューヨーク、パリ、ロンドン、ロサンゼルス、シンガポールの6都市で、2025年末までに23店が「海外優秀韓国料理店」に指定されていた。
今回は、その対象を一部の高級店から、日常的に利用できる韓国料理店へ広げる転換となる。

画像提供:韓国農林畜産食品部

政府版の韓国料理店ガイド、予約までつながる仕組みへ

認証を受けた店が増えても、利用者がその存在を知らなければ、実際の来店にはつながりにくい。
そこで韓国政府は、認証店を国・都市別に探せる「グローバル韓国料理店マップ」の構築を計画している。

マップには、店舗の位置、認証等級、代表メニュー、写真などを掲載し、現地の地図サービスや予約サービスとも連携する予定だ。
食べログのように利用者の口コミや評価点で順位を決めるサービスではなく、政府の基準を満たした店舗を探すための公式ガイドに近い。

現時点では、独立したWebサイトになるのか、既存の「韓食ポータル」内に設置されるのか、専用アプリも提供されるのかは公表されていない。
現在は、認証店舗への指定書や店頭掲示用プレートの交付に加え、韓食振興院が運営する韓食ポータルで、店舗紹介やシェフへのインタビューなどが発信されている。

今後は、複数の認証店が参加する「コリアン・レストラン・ウィーク(仮称)」や、現地のグルメメディア、インフルエンサーと連携したプロモーションも計画されている。
認証制度と検索・予約導線を結び、店を知るところから実際の来店までを支える構想だ。

店を選ぶ基準と、店を育てる仕組み

今回の計画は、利用者向けの店舗ガイドをつくるだけではない。海外の韓国料理店が抱える調理技術、衛生管理、食材調達、人材確保などの課題も支援対象となる。

2027年後半までには、調理マニュアルや教育動画を多言語で提供する「韓食デジタルライブラリー」を構築する予定。スマートフォンで学べる「グローバル韓国料理店アカデミー」では、10~20分程度の短い教材を用意し、従業員が必要な分野を選んで学べるようにする。受講実績は、認証更新や等級引き上げの評価にも反映される。

韓国産食材の共同購入、現地の輸入・流通事業者との接続、料理人やインターンの人材マッチングも進める。認証店を単独で宣伝するのではなく、教育、食材、人材、集客をひとつの仕組みとして整えようとしている。

日本では、焼肉や冷麺といった定番に加え、サムギョプサル、韓国チキン、カフェメニューなど、韓国料理の選択肢が大きく広がってきた。公的な認証が機能すれば、利用者にとっては店を選ぶ判断材料となり、店舗側にとっては品質や専門性を伝える手段となる可能性がある。

一方で、韓国料理の魅力は、それぞれの国や地域の食文化に合わせて変化してきたことにもある。「本場らしさ」を保ちながら、現地で生まれたアレンジをどこまで認めるのか。品質の共通基準と、店舗ごとの個性を両立できるかが制度の広がりを左右しそうだ。

現時点では、日本での新制度の開始時期や審査費用、グローバル韓国料理店マップの公開方法などは明らかにされていない。認証マークを増やすだけでなく、消費者が安心して店を見つけ、店舗も持続的に成長できる仕組みとなるのか。K-FOODブームの次を支える基盤づくりに期待がふくらむ。

取材・編集・文:COCOA編集部

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