【韓国の会計・税務レポート】「新収益会計基準書」の主要内容

金融監督院は、去る12月10日、2019年中に重点的に点検する4つの会計課題を選定して発表しました。同会計課題とは、①新収益会計基準書適用の適正性、②新金融商品基準公正価値測定の適正性、③非市場性資産評価の適正性、④無形固定資産の認識・評価の適正性としており、会計誤謬防止のため、企業は2018年度財務諸表作成時に同会計課題を参考にし、決算を慎重に行う必要があることを勧告しました。

 

以下では、同会計課題の内、上場法人等のIFRS適用企業が2018年1月1日から義務的に適用しなければならない新収益会計基準書(K-IFRS第115号:顧客との契約で発生する収益)の主要内容をご紹介します。

 

1.適用範囲

新収益会計基準書は、取引相手が『顧客』である契約にのみ適用するため、企業は、会計処理する契約が、この基準書の適用対象に該当するかどうかを優先的に判断しなければなりません。ここで、『顧客』とは、「企業の通常活動の算出物である財貨や役務を代価と交換して獲得することを企業と契約した当事者」を言います。従って、取引相手が企業の通常活動の算出物を取得するためではなく、ある活動や過程(協業約定による資産開発)を通じて、その活動や過程で発生するリスク及び利益を共有する場合、その取引相手は『顧客』に該当しません。

 

2.収益認識の5段階接近法

以下の、顧客との全ての類型の契約に適用される5段階収益認識模型を提示し、財務諸表の比較可能性及び収益認識の一貫性を高めました。

 

(1)顧客との契約を識別

以下の基準を全て充足する契約に対してのみ適用します。

1)  契約当事者が契約を承認(書面、口頭、その他の事業慣行)し、各自の義務を遂行することを確約する。

2)  移転する財貨や役務に関連する各当事者の権利を識別することができる。

3)  移転する財貨や役務の支払条件を識別することができる。

4)  契約に商業的実質がある(契約の結果により、企業の将来キャッシュ・フローのリスク、時期、金額が変動すると予想される)。

5)  顧客に移転する財貨や役務に対し、受ける権利を持つ代価の回収可能性が高い。

 

(2)遂行義務を識別

1段階で顧客との契約を識別したら、その契約開始時点で顧客との契約で約束した財貨や役務を検討し、顧客に以下の何れか1つを移転することにした各約束を、1つの遂行義務と識別します。

1)  区別される財貨や役務

2)  実質的に同じ一連の区別される財貨や役務(進行率測定対象の場合)

 

(3)取引価格を算定

3段階で算定される取引価格は、顧客に約束した財貨や役務を移転し、その代価として企業が受ける権利を持つことと予想される金額です。取引価格は、企業が契約上遂行義務に配分する金額であり、最終的に収益と認識する金額であるため、3段階取引価格の算定は、収益認識模型で重要な段階です。顧客との契約で約束した代価は、固定金額、変動金額、又は両方とも含まれることもあります。

 

(4)取引価格を遂行義務に配分

取引価格は、顧客に提供される財貨や役務の相対的個別販売価格を基準に、各遂行義務(区別される財貨や役務)に配分します。

 

(5)遂行義務履行時の収益認識

企業は、約束した財貨や役務を顧客に移転し、遂行義務を履行する際(又は、期間にわたり履行する次第)に収益を認識し、認識する収益金額は履行した遂行義務に配分された金額です。資産は、顧客がその資産を統制する際(又は、期間にわたり統制され次第)に移転されます。

 

3.表示と開示

契約当事者のうち、ある一方が契約を遂行した際、企業の遂行程度と顧客の支払との関係により、その契約を契約資産、或いは契約負債にして財務状態表に表示します。代価を受ける無条件的な権利は受取債権に区分して表示します。

2018年度決算時には、会計政策の変更効果を、勘定科目別水準で調整事由と共に忠実に記載することを要求しています。即ち、財務状態表だけでなく、損益計算書、キャッシュ・フロー計算表の各勘定科目別水準で、変更前金額、変更後金額、調整金額を表に記載し、調整事由を詳細に記載しなければなりません。財務諸表利用者が顧客との契約で発生する収益及びキャッシュ・フローの特性、金額、時期及び不確実性を理解できるよう、収益のカテゴリー別区分、遂行義務、基準適用時の重要な判断等について十分な情報が開示されなければなりません。

 

 

- 以上 -

株式会社スターシア
http://www.starsia.co.jp/

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