Kクリエイターの舞台裏から考える、日韓をつなぐ仕事のこれから

好きな動画を見て、気になる商品や旅先に出会う。そんな日常をビジネスにつなげているのが、クリエイターと、その活動を支える企業だ。

韓国では今、クリエイター産業の成長とともに、舞台裏で働く人たちの環境にも目が向けられている。日本から韓国へ活動を広げるうえでも、見逃せない動きだ。

「発信」を仕事につなぐMCNという存在

MCN(マルチチャンネルネットワーク)は、動画制作や視聴者の開拓、企業との広告案件、収益化などを支援する存在。個人の発信力を、継続的な仕事につなげる役割を担っている。YouTubeも、クリエイター同士の連携や営業、権利管理などをMCNのサービスとして紹介している。

こうした韓国のMCN企業に対し、雇用労働部は2026年9月23日、労働環境を確認する計画的な監督を発表。9月28日から、ソウル地域の5事業所を対象に実施する予定だ。現時点では、違反や処分が確定したという発表ではない。

成長を支えるのは、再生回数だけではない

今回確認されるのは、労働時間や賃金の未払い、手当をまとめて支払う包括賃金制の不適切な運用など。雇用労働部は、業界で働く人の多くが社会人として歩み始めた若者であることにも言及している。

注目したいのは、人気コンテンツを生む力と、それを無理なく作り続けられる環境は、切り離せないという点だ。制作や運営を担う人が安心して働けることは、クリエイター自身の活動を長く支える土台にもなる。

ただし、MCNで働く従業員の雇用環境と、所属・提携クリエイターの契約条件は別の論点。
今回の監督によって、クリエイターの報酬や契約が一律に見直されるわけではない。
産業の成熟を考えるには、働く人の保護と、取引の透明性の両方に目を向ける必要がある。

日本からの参入は、「所属」だけが入り口ではない

日韓をまたぐ企業連携は、すでに動き始めている。
AnyMind Groupは2025年9月、韓国のクリエイタープロダクションSOON ENTとの提携を発表。
韓国クリエイターの日本などへの展開や、ブランドとの共同キャンペーンを協業内容に掲げた。
これは韓国側の海外展開を中心とする事例であり、日本人クリエイターの韓国参入が増えていることを直接示すものではない。

一方、日本から活動を広げる道として考えられるのは、現地企業への所属だけではない。日本を拠点に韓国ブランドの魅力を伝える、韓国のクリエイターと共同制作する、韓国の視聴者に向けて発信する——こうした案件単位の連携も選択肢となり得る。

その際に大切なのは、知名度だけで提携先を選ばないこと。どこまで支援を受けられるのか、報酬はいつ支払われるのか、契約をどう終了できるのか。YouTubeも、MCNへの加入は成功の必須条件ではなく、サービスや料金、契約期間などの確認が重要だと案内している。

今回の動きが、日本からの参入条件を直接変えるわけではない。それでも、安心して働き、対等に協業できる環境が整えば、国境を越えた活動を続けやすくなるはずだ。日韓のクリエイター交流を、一度きりの話題から継続する仕事へ。その土台づくりにも注目したい。

出典情報

韓国雇用労働部「MCN産業労働者の権益保護に向けた計画的監督に着手」⁠
AnyMind Group「SOON ENT社とグローバルマーケティングパートナー契約を締結」⁠

編集・文:COCOA編集部

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