
ソウルが“アートの街”になる一週間
9月のソウルが、街ごとアートに染まる。
美術館やギャラリーだけでなく、乙支路をはじめとする街のさまざまな場所へとアートが広がり、同時期には世界的なアートフェア「Frieze Seoul」や韓国を代表する「Kiaf SEOUL」も開催。世界からアート関係者が集まり、韓国からも新しい表現が世界へ発信されるこの一週間。いつものソウルとは少し違う、“アートを目的に街を歩く”楽しみ方を紹介する。

世界が集まる「Seoul Art Week」
2026年8月31日から9月6日まで、ソウル市内各地で「2026 Seoul Art Week(ソウルアートウィーク)」が開催される。今年参加するのは、美術館やギャラリー、新進のアートスペースなど141カ所。期間中には159の展示・プログラムが展開される予定だ。昨年の107カ所から参加スペースが大きく増え、ソウル市内のさまざまなエリアを横断する都市型のアートイベントへと広がっている。
近年、ファッションや音楽、ビューティーだけでなく、
現代アートの世界でも存在感を高めているソウル。
韓国のアーティストやギャラリーが海外で紹介される機会も増え、
韓国の現代アートそのものに向けられる国際的な視線も広がりつつある。
では、なぜ今、世界のアート関係者がソウルに集まるのか。
今年のSeoul Art Weekを追っていくと、その背景が少し見えてくる。

写真掲載情報:ソ・ヨンスン「私の名前は赤」展の展示風景。アートソンジェセンター提供
写真:チョルキ・ホン ⓒ 2023
COEXだけではない。ソウルという「街」が会場になる
Seoul Art Weekの特徴は、大規模な展示会場だけを訪れるイベントではないこと。
期間中は国公立・私立美術館からギャラリー、オルタナティブスペース、
新しく生まれた小規模なアートスペースまで、街のさまざまな場所が参加する。
そして今年、新たな試みとして注目したいのが、
8月31日に乙支路(ウルチロ)で開催される「Opening Night」だ。
20のアートスペースが参加し、展示だけでなくワークショップ、
アーティストトーク、パフォーマンスなどを展開。夜まで街を巡りながらアートに触れることができる。
乙支路は、印刷所や工具店、町工場など、ソウルの産業を支えてきた風景が今も残るエリア。
その一方で、ギャラリーやクリエイターの活動拠点なども生まれ、
古い都市の記憶と新しいカルチャーが共存する場所でもある。
今年のアートウィークが、そんな乙支路から始まるのも興味深い。

Photo / Reference:K-ARTIST / ARARIO GALLERY SEOUL
※《파고》は今回のSeoul Art Weekの出品展示ではありません。
世界のアートがソウルへ。「Frieze Seoul」と「Kiaf SEOUL」
そして9月2日からは、世界的なアートフェアFrieze SeoulがCOEXで開幕する。
2026年は第5回。世界30カ国から125以上のギャラリーが参加し、その70%以上がアジア太平洋地域を拠点としている。さらに参加ギャラリーのうち50以上が、現在ソウルに常設スペースを持つ。
同じCOEXでは、韓国を代表する国際アートフェアKiaf SEOULも同時期に開催される。
Kiafは2002年に始まった韓国初の国際アートフェア。今年は「Coexistence(共存)」をテーマに、人間の創造性とテクノロジーが共存する時代のアートについても提示する。開催は9月2日から6日まで。
この一週間、ソウルには韓国国内だけではなく、
世界各地からギャラリー、アーティスト、コレクター、キュレーターなどが集まることになる。
そして注目したいのは、海外のアートがソウルへ集まるという一方向の動きだけではない。
近年は韓国のアーティストやギャラリーが海外の美術館、国際展、
アートフェアなどで紹介される機会も増えている。
世界から韓国へ。そして、韓国から世界へ。
ソウルが国際的なアートシーンとの接点を広げていくことで、
作品を見るだけではなく、国や文化を越えてアーティストやクリエイターが出会う機会がさらに生まれていくことにも期待したい。

2022年9月2日、ソウル南部・江南区のCOEXでVIPオープニングで幕を開けた、第1回フリーズ・ソウルの様子 / Newsis
アートフェアから「都市体験」へ
今年のFrieze Seoulも、会場となるCOEXだけで完結しない。
8月31日から9月3日にかけて、乙支路、漢南、清潭、三清とエリアを変えながら「Neighborhood Nights」を開催。ギャラリーの夜間開館や特別企画などが街の中へ広がっていく。
さらに今年は、英国人アーティストRyan Ganderによる「The Find Seoul」も登場する。
特別にデザインされた16,000枚のコインを、ソウル各地のギャラリーや文化施設、街の中に隠すという都市規模のアートプロジェクトだ。
美術館やアートフェアで作品を見るだけではなく、街を歩くことそのものが、アートとの接点になる。
韓国旅行というと、グルメ、ショッピング、美容、K-POPなどを目的にソウルを訪れる人は多い。
けれど現在のソウルには、それだけではないカルチャーが育っている。
歴史ある街並みの中に新しいギャラリーが生まれ、
世界的なアートフェアと小さなアートスペースが同じ一週間につながっていく。
2026年9月には、Seoul Art Weekだけでなく、韓国各地の主要アートイベントをつなぐ「2026 Korea Art Festival」もスタートする。Kiaf Seoul、Frieze Seoulをはじめ、釜山・光州・済州などで開催されるアートイベントへと、その動きは韓国各地に広がっていく。
韓国のアートに詳しくなくてもいい。
お気に入りのカフェを探すように、小さなギャラリーを覗いてみる。
いつものソウル旅行に、ひとつ展覧会を加えてみる。
そんな入り口からでも、これまでとは違う韓国が見えてくるかもしれない。
そして、こうした場所から生まれる出会いは、旅行者と作品だけのものではない。
アーティストと企業、ブランドとクリエイター、韓国と海外。
異なる領域が出会うことで、新しい表現やプロジェクトへ発展していく可能性もある。
作品だけでなく、人やアイデアが国境を越えて行き交い、
そこから新しい文化やビジネス、プロジェクトが生まれていく。
そんな「韓国と世界の新しい接点」にも、YOGI YOGIではこれから注目していきたい。
この秋、ソウルを訪れるなら
「アートを目的に街を歩く」という、新しいソウルの楽しみ方を選んでみてはいかがだろう。
基本情報
2026 Seoul Art Week
開催期間: 2026年8月31日(月)〜9月6日(日)
開催場所: ソウル市内の美術館・ギャラリー・アートスペースなど
参加: 141スペース/159展示・プログラム
2026 Seoul Art Week|ソウル市公式情報
Frieze Seoul 2026|公式サイト
Kiaf SEOUL 2026|公式サイト
編集・文:COCOA編集部


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