
韓国のコンビニが『健康を買う場所』に? 売れているものから見える、新しい日常
韓国旅行で立ち寄るコンビニといえば、キンパやカップラーメン、新作のお菓子を探すのも楽しみのひとつ。ところが今、その棚に少しずつ変化が起きている。プロテイン飲料やサラダ、焼き芋、さらにはビタミンなどの健康機能食品まで——。背景にあるのは、健康と楽しさを両立する「헬시 플레저(Healthy Pleasure)」という考え方。コンビニの棚から見えてくる、韓国の新しい健康習慣と生活者の変化を覗いてみようと思う。
韓国のコンビニで増えている「健康」という選択肢
カップラーメンやキンパ、お菓子、バナナ牛乳など、手軽で韓国らしい商品がずらりと並ぶコンビニ。
そのおなじみの風景の中で、近年存在感を増しているのが「健康」を意識した商品だ。
プロテイン飲料やサラダ、鶏むね肉といった高タンパク食品から、焼き芋、低糖・ゼロシュガー商品、さらにはビタミンなどの健康機能食品まで、その選択肢は着実に広がっている。
ポイントは、健康商品だけを集めた特別な場所ができたわけではないこと。
いつもの飲み物や食事を選ぶ、そのすぐ隣に「少し身体を意識した選択肢」が並んでいる。
健康管理が、特別な行動ではなく日常の買い物の中へ入り始めている。
そんな変化が、いま韓国のコンビニで起きている。
バナナ牛乳より、プロテイン?
韓国コンビニの変化を象徴する数字がある。
GS25では2026年上半期、プロテイン飲料の売上が前年同期比26.8%増加。
さらに売上高で、韓国コンビニの定番ともいえるバナナ牛乳カテゴリーを初めて上回った。
現在GS25が扱うプロテイン飲料は約50種類。
2020年にはわずか3種類だったというから、その変化は大きい。
しかもプロテインは、もはや本格的にトレーニングをする人だけのものではない。
「普段の生活の中で、手軽に健康管理をしたい」という層へ消費者が広がり、
味や飲みやすさを重視した商品も増えている。
コンビニの冷蔵棚を見れば、韓国の人たちがいま何を求めているのかが少し見えてくる。
聯合ニュース|GS25「プロテイン飲料、バナナ牛乳の売上を初めて上回る」(2026年7月5日)

Image:GS25のプロテイン飲料コーナー(出典:GS25)
真夏なのに「焼き芋」が売れている
さらに面白い現象がある。
韓国では秋冬のイメージが強い焼き芋「군고구마(クンコグマ)」が、今年は猛暑の夏にも売れている。
CUでは2026年6〜7月の焼き芋販売が前年同期比で67%増加した。
同じく健康志向の商品では、サラダや鶏むね肉なども伸びている。
なぜ暑い時期に、温かい焼き芋なのか。
理由のひとつとして指摘されているのが、焼き芋が「季節のおやつ」だけでなく、
比較的手軽に選べる健康的な間食や食事の選択肢として受け止められるようになっていることだ。
「夏だから売れない」という季節性より、「自分がいま食べたいもの、身体のために選びたいもの」が優先される。コンビニの商品構成にも、そんな変化が表れている。
「헬시 플레저」って何?
こうした韓国の消費を理解するうえで知っておきたい言葉が、
헬시 플레저(Healthy Pleasure/ヘルシープレジャー)。
直訳すれば、「健康(Healthy)」と「楽しさ(Pleasure)」を組み合わせた言葉だ。
健康のために好きなものをひたすら我慢するのではなく、
おいしさや楽しさを諦めず、無理なく健康管理を続けるという考え方。
韓国では低糖質・ゼロシュガーの商品から、高タンパク食品、プロテイン飲料などへ対象が広がり、
日常的な消費行動として定着しつつある。
だからこそ、わざわざ専門店へ行く必要のない「コンビニ」との相性がいい。
仕事や学校へ向かう途中にプロテイン飲料を買う。
小腹が空いたら焼き芋を選ぶ。
ランチなら、高タンパクの商品を選んでみる。
健康管理を特別なイベントにするのではなく、いつもの生活の中へ入れてしまう。
これが韓国のHealthy Pleasureの面白いところでもある。
コンビニが「健康を買う場所」になっていく
そして今、韓国のコンビニで起きている変化は、食べ物や飲み物だけにとどまらない。
CUでは2025年7月から、全国約6,000店舗でビタミンなどの健康機能食品の販売を開始。
コンビニで気軽に手に取れるよう、少量・小包装の商品を中心に、
多くを5,000ウォン以下の価格帯で展開した。
販売開始から約1年で累計販売数は130万個を突破。
2026年には「Healthcare 2.0」として、
健康機能食品を扱う店舗をさらに約2,000店舗拡大する計画も発表している。
さらに興味深いのが、コンビニと行政まで一緒に動き始めていることだ。
2026年7月には、ソウル市とCUが共同で「Seoul My Soul Healthy Convenience Foods」を発売。
低糖・高タンパクを意識した弁当やキンパ、三角キンパ、チキンサンドイッチなど5商品を展開している。
プロテインを飲む。小腹が空いたら焼き芋を選ぶ。
ランチには低糖・高タンパクの商品。そして必要なら、ビタミンまでコンビニで買う。
こうして並べてみると、韓国のコンビニで起きているのは、単なる「健康食品ブーム」ではなさそうだ。
健康のために特別な場所へ行くのではなく、毎日の生活動線の中で、その日の自分に合ったものを選ぶ。
コンビニそのものが、そんな選択を支える場所へと少しずつ変わっている。
韓国旅行では、新作のお菓子やカップラーメン、話題のドリンクを探すのももちろん楽しい。
でも次にコンビニへ立ち寄ったら、ぜひ少しだけ視線をずらしてみてほしい。
プロテイン飲料の種類はどれくらいあるのか。どんな健康食品が小分けで売られているのか。
弁当やキンパには、どんな言葉が書かれているのか。
コンビニの棚は、その国で暮らす人たちの「いま」が、かなり正直に表れる場所でもある。
「韓国では今、こんなものが売れている」。
そこからもう一歩踏み込んで、「なぜ今、これが選ばれているんだろう?」と棚を眺めてみる。
次の韓国旅行では、そんなコンビニの楽しみ方も面白いかもしれない。

Seoul My Soul × CU 健康簡便食3種(写真左から 低糖質・高タンパク質鶏むね肉弁当 / 低糖質・高タンパク質 ガーリックチキンキンパ / 低糖質・高タンパク質 オリエンタルチキンサンドイッチ)
Image:Seoul Metropolitan Government
出典表記
Seoul My Soul × CU 健康簡便食5種
GS25
編集・文:COCOA編集部


この記事へのコメントはありません。