
2026年、韓国の夏はここが熱い。Z世代が動いている“体験型トレンド”6選
韓国の夏に何が流行っているか、と聞かれると、少し前までは「かき氷」「冷麺」「海雲台のビーチ」あたりが定番の答えだった。ところがここ数年、Z世代のInstagramやTikTokを覗くと、答えの選択肢がずいぶん増えている。全身泥だらけの写真、川に飛び込む動画、光化門の広場でビーチベッドに寝転ぶ姿。共通しているのは、どれも「その場に行かないと体験できない」種類のコンテンツだということだ。今回は、現在開催中のものからこれから開催されるものまで、この夏を盛り上げる体験型トレンドを6つ選んでみた。旅の予定表に、ひとつ足すつもりで読んでもらえたら嬉しい。

泥まみれで遊ぶ、というトレンドの原点
夏の韓国と聞いて、まず名前が挙がるのが保寧(ポリョン)マッドフェスティバルだ。忠清南道・大川(テチョン)海水浴場一帯で毎年開催されている大規模イベントで、2026年は7月24日から8月9日までの17日間の開催期間中、7月30日現在まさに会期の折り返し地点にあたる。今年は文化体育観光部から「グローバル祝祭」に指定され、韓国を代表する国際的な夏イベントとしての位置付けがさらに強くなった。
昼間は泥風呂、泥マッサージ、カラーマッド、干潟体験など、全身が汚れることを前提にしたプログラムがずらりと並び、夜になるとK-POPやヒップホップ、ドローンショーなど音楽と光のステージに切り替わる。「汚れる」というネガティブなはずの体験が、SNSで拡散される瞬間には最高のコンテンツになる。この逆転の発想が29回続いている、というのが、そもそもの面白さかもしれない。
水を浴びるためだけに集まる、南の水祭り
保寧が「西海岸の泥」なら、こちらは「南部の川」だ。全羅南道・長興(チャンフン)郡の耽津江一帯で開かれる「正南津長興水祭り」は、2026年は7月25日から8月2日までの9日間開催されている。文化体育観光部の「名誉文化観光祭り」および「予備グローバル祭り」に選定された、地方の郡が主催するフェスとしては屈指の規模を誇るイベントだ。
看板プログラムは、水鉄砲やホースを手にした来場者と地元の人が入り混じって町を練り歩く「薩水大捷ストリートパレード」。歴史上の戦いの故事を、水かけ大会にそのまま翻訳してしまうという発想が、なんとも韓国の地方祭りらしい。ソウルから片道3時間強と決して近くはないけれど、都会の観光では得られないタイプの体験がある。
音楽で熱くなる、ロックフェスの現在地
真夏の夜に汗をかきたい派には、仁川ペンタポートロックフェスティバルという選択肢がある。会場は仁川・松島(ソンド)月光祝祭公園。2026年は7月31日から8月2日までの3日間、韓国最大級の野外ロックフェスとして開催されている。国内外のロックバンドが集結する韓国有数の音楽イベントで、毎年、チケットは春先の販売開始と同時に売り切れることでも知られる。
保寧や長興が「昼の体験」に軸を置くのに対して、こちらは完全に「夜の熱狂」だ。同じ夏でも、韓国のフェス文化はここまで裾野が広がっている、と実感できる会場でもある。
都市の真ん中が、海辺になる
体を動かすタイプの祭りは少しハードだ、という人にちょうどいいのが、ソウル観光財団が主催する「2026ソウルサマービーチ」。光化門広場と世宗路公園を舞台に、7月20日から8月9日まで21日間開催されている。歴史あるソウルの中心地に大型プール、ウォータースライダー、砂浜、フードトラック、休憩スペースがまるごと持ち込まれ、都市が一時的に海辺に姿を変える、という企画だ。
入場は無料。地下鉄5号線・光化門駅から徒歩数分という好立地もあって、平日でも会社帰りに立ち寄る人が絶えない。オフィスビルと景福宮のあいだで、素足で砂を踏む、という不思議な感覚は、この期間だけの体験である。
漢江公園プールという、韓国のもうひとつの夏
ソウルの夏と切っても切れないのが、漢江(ハンガン)公園のプールだ。ソウル市が公式に運営するプールで、2026年は6月19日から8月30日までの期間、市内6か所の漢江公園(汝矣島、蚕院、蚕室、トゥクソム、亀岩、望遠)で開場している。地下鉄で気軽にアクセスできる都心のプール、というスケールの大きさ自体がすでに一種の観光資源だ。
漢江のほとりでチキンとビール、いわゆる「チメク」を楽しむのは、韓国の若い世代の夏の過ごし方として長く定着してきた。プールもその延長線上にある。ドラマや映画で漢江のシーンを見て韓国に憧れた人にとっては、写真を撮るだけの場所から、実際に足を浸しに行く場所へ、地図の中で意味が変わる瞬間かもしれない。
一週間で街が変わる、聖水洞のポップアップ
最後は、屋外イベントとは少し違う角度から。ソウル・聖水洞(ソンスドン)を歩いていると、先月見た店が今月には別のブランドに入れ替わっている、ということが本当に頻繁に起こる。ここ数年、韓国のブランドやアーティストが「体験型ポップアップ」の舞台として聖水洞を選ぶことが増え、街そのものが常時アップデートされ続けているような状態になっているのだ。
夏はとくに、飲料、コスメ、K-POPアイドル関連の期間限定ストアが集中する時期でもある。同じ通りを二週間後にもう一度歩くと、まったく違う景色が広がっている、という体験は、聖水洞ならではだ。「その場に行かないと出会えない」という意味で、フェスとポップアップは、Z世代の中では地続きの体験として扱われているように見える。
その他のイベント・スポット情報
■釜山海祭り(プサンパダチュッチェ/第30回)
開催期間:2026年8月7日〜8月13日
会場:釜山広域市・多大浦海水浴場一帯
主催:釜山広域市
運営:釜山祝祭組織委員会
釜山の夏を代表する海辺の祭典。第30回開催。開幕日に「多大花火ショー」を予定。
出典:釜山祝祭組織委員会公式サイト(2026年7月21日付公告)
■原都心路地祭り〈夏:城内イズバック〉
(원도심골목길축제〈여름:성안이즈백〉)
開催期間:2026年8月29日〜8月30日
会場:忠清北道 清州市・城内洞一帯
主催:清州市文化産業振興財団
城内洞の原都心を舞台とした地域密着型イベント。
詳細なプログラム・時間割は公式発表待ちのため、現時点では開催概要のみ掲載。
出典:文化体育観光部連携・地域祝祭情報データベース「recomarea」(2026年8月開催情報)
※イベント内容、開催時間、入場料などは変更となる場合あり。
来場前にVISIT KOREAおよび各主催者公式サイトにて最新情報の確認されることをお勧めします。
編集部コメント
「トレンド」という言葉は、コスメやファッションのイメージが強い。でも、2026年の韓国の夏を眺めていると、Z世代を動かしているのは、モノよりも体験のほうだと実感する。全身泥まみれになった写真、水鉄砲を構える動画、光化門で素足になった一枚。どれもSNSで拡散されやすい絵づくりだが、それ以上に「その場所に行った自分」を記録できるかどうかが評価軸になっている。行政や地方自治体もその潮流を意識し、フェスの規模拡張やグローバル祝祭への指定を進めている。韓国の夏は、単なる「暑い季節」から、体験を消費するための季節へ、着実に姿を変えつつある。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
取材・文:COCOA
情報提供:韓国観光公社


この記事へのコメントはありません。